第26号 社会運動の一九六〇年代再考

年報日本現代史編集委員会 編

A5判・並製/定価3,520(3,200+税)円/ISBN978-4-87785-374-7/2021年12月刊行

 ……ならば今日、いかなる研究が求められているか。端的には、1960年代にさまざまな条件と形態で展開されていた社会運動を、あらためて全体として捉える作業だと思われる。それは社会運動という次元から、あらためて“日本の”1960年代の歴史性を問い直す議論へと広がり、さらには日本における「1968年」について、より有効な国際比較をするための前提となるはずである。このような問題意識から、本特集は「社会運動の1960年代再考」を掲げ、当時の多様な社会運動の再検証を通じて、この時期の歴史的位置を測り直してみたい。(中略)
 もちろん、これらの論考には、それぞれの運動に対応する先行研究があり、それとの格闘のなかで生み出されたものである。しかしながら、それぞれの分野で検討が深められた結果として、各論考は、1960年代に対する新しい視点を構成する重要な問題提起になっていよう。(「特集にあたって」より)


【特集論文】
Ⅰ 戦後大阪の革新勢力 …………………………………………………………………黒川伊織
   ―― 一九六〇年代を中心に

Ⅱ うたごえ運動の一九六〇年代 ………………………………………………………河西秀哉
   ―― 運動方針の変化から

Ⅲ 雇用形態と階層差を超えた女性労働運動 …………………………………………跡部千慧
   ―― 日教組婦人部の出産後の継続就労要求運動に着目して

Ⅳ 民青系学生運動から見た東大闘争 …………………………………………………小杉亮子
   ―― 一〇項目確認書に着目して

Ⅴ 一九六〇年代の重度障害者運動と障害女性への子宮摘出手術 …………………鈴木雅子
   ―― 当事者・親・専門家の議論からみえてくるもの

【現代史の扉】
政治経済史の復権 …………………………………………………………………………浅井良夫